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■( ^ω^)ママ、アイラビューのようです

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:08:11.20 ID:48qBVzBU0
規制オワタけど母の日にまにあわなかったお



2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/14(木) 00:09:40.83 ID:48qBVzBU0
約六年もの歳月が経った。
僕にしてみれば、とても長く感じていたが、父は言った。

( ・∀・)「お前がまだ若いだけだ」

僕がこの国――日本――に帰国して六年。



中学を卒業し、それからはただ適当な日常を送っていた毎日。
そんな日々を断ち切り、僕は変わろうと決意した。



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:11:10.55 ID:48qBVzBU0
僕は高校へ行かなかった。
勉強がしたくない、あそこは義務で行くとこじゃないから、
なんて屁理屈と言い訳をこねて。

父は激昂した。
当然かもしれない。この時代、最低でも高校卒の経歴は無くては生き残れない。
そんな彼の言った言葉は僕を突き動かしたのだ。


( ・∀・)「お前は日本から出て行け」


上等だと思った。こっちだって願い下げだ、と。
僕自身、友達も居らず、日々を怠惰で送るのにほとほと飽きてきたのだ。
だから僕は決意した。
この国から、父の前から消えてやる。
そして、この自分自身の腐ったところを変えてやる。



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:13:35.14 ID:48qBVzBU0
僕はハーフだ。
父は日本人。母はフィリピン人。

从 ゚∀从「後悔、しないか?」

既に日本に来て三十年以上経つ母が、それでもつたない日本語でそう僕に聞く。

( ^ω^)「いいんだお。それに、久しぶりにあっちに顔を見せたいんだお」

僕がこの時――六年前――はまだ十六歳で、それでもフィリピンに行った数は少ない。
日本よりも遥かに多い親族たちに、何年かぶりに会いたいとも思っていた。


母は年に二度ほど帰国する。
今となっても詳しいことは分からないが、多くの在日している外国人の方々は似たり寄ったりらしい。
証拠に、僕が日本を旅立つ日には、多くの帰国する人々がうかがえた。



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:15:36.88 ID:48qBVzBU0
久しぶりに乗った飛行機は、慣れなかった。
胃が落ち着かなかった。機内食は不味かった。
母が、機内で配られた菓子を鞄の中に入れていた。
少し、悲しくなった。


フィリピンは貧しい。未だにムスリムなどというものがある上に、地方によっては
何十年も時が止まっていたかのように見えた。

母に、何故菓子を持っていくのかと訪ねたとき、母は嬉しそうにこう答えた。

从 ゚∀从「ブーン。私はマザーテレサじゃないけど、子供たちにお菓子を与えることはできるんだ」

母の家計は、所謂マフィアというやつだった。
そのことを知ったのは、全然後になってからである。
今になって思えば、そういえば何故かゲストで大げさな場所に招かれたことがあった。

母は言った。
お金を持っている人が、みんなを助けなければいけないんだ、と。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:17:23.59 ID:48qBVzBU0
久しぶりのフィリピンの空気は、はっきり言えば最悪だった。

確か、あの時は季節は冬で――当然、日本で考えて――飛行場につくまで寒さで震えていたのに。
しかし、飛行機が首都マニラへ着陸する寸前、機内に流れたアナウンスの情報を聞いて、
僕は驚きの余り、今来ていたカーディガンをどうしようかと悩んだ気がする。

降り立ち、その湿気と熱気に頭がくらむ。
気温二十八度、湿度は覚えていない。
排気ガスで鼻が曲がる。

どれも、造りが安っぽく思えた。
床や、電光の色も。壁も、そして臭いが一番気に障った。
早くも僕は、日本に帰りたいと思っていた。

余談だが、この空港まで我が家の手は回っていた。
その時は若干引きはしたものの、後々になって感謝することとなる。



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:19:43.45 ID:48qBVzBU0
僕の持っていたチケットは、十四日分の滞在を許されていた。
僕としてはこの時、今更戻ってたまるかという気持ちのためか、母に抗議する。


从 ゚∀从「ははは、安心しな。ビザを取ればいい」

僕の記憶では、確かそんなことを母が言っていたと思う。
今になってもビザの存在意義も理解できていないが、その日の夜、
一泊したホテルで空港にいた我が家関係の男が何かを持って部屋に入ってきた時、
母がチップを渡しているのを見て大体は予想できていた。


また余談となるが、僕がマニラに到着して、幾つか驚愕したことがある。

一つ目は、ストリートチルドレンの数。
首都の全貌を覗き見たわけではないが、少なくとも僕の歩いてきた道で、
彼等が現れなかった場面はない。



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:21:50.70 ID:48qBVzBU0
从*゚∀从「ぎゃははは!!見ろよブーン!幼女がマ○コ丸出しだww」

(#^ω^)「おまっ……」

全裸の年端もいかぬ少女と幼女の中間ほどの子が、道端で放尿しているのを僕らが見かけたとき、
母はそう言って笑い、僕は初めて母に怒りを感じた。
先ほどの大言はどこへ言ったのだ。


(;^ω^)「おお!これじゃ車線の意味ねーお!」

从 ゚∀从「日本の道交法は逆に安全すぎるぜ」

二つ目は、僕たちが目的のホテルに到着するまで、バンで移動していた時のこと。
確かに、縦横無尽に、約六車線の道路を車が凄まじい速度で走り回っていたのは
驚きだったし、目の前に対向車が現れた時は死を覚悟したものだ。

けど、それはまだ大したこと無かった。



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:24:02.50 ID:48qBVzBU0
母が近くのコンビニエンスで飲み物を買ってくる間、僕と数人の人――親戚らしい――で
バンの中でトランプをやっていた。
カードゲームの名前は覚えていない。けれど、僕は不思議とその輪の中へと溶け込めていた。
そんな時。

J( 'ー`)し「マネー・プリーズ……」

(-_-)「マネー……」

コンコン、と僕の耳に音が届いて、窓を見れば親子のホームレスがそう言っていた。
ガラス越しに聞こえるその声に、少しばかり戦慄が走る。
母と思わしき女性は、体中が煤で汚れていて、上半身は何も来ていなかった。
子供の体を見たとき、本当にこんなに体は細くなるのだと思い知らされた。


僕は、どうすればいいのか分からなかった。
ただ、自然と胸ポケットに伸びる手を、母に掴まれるまで。



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:26:41.83 ID:48qBVzBU0
从 ゚∀从「ブーン。私達は確かに金がある。だから弱い人々を守らなきゃいけない」

いつの間にか母はバンに乗っていた。
真剣な表情で、僕にそう言う。

从 ゚∀从「けれど、それは私の力が及ぶ範囲までの話だ。ここは、この人たちは――家族じゃない」


マフィアのことは未だによく分からない。
けど、なんとなく僕には皆を守るヒーローのような存在なのだろうと思えた。
母のその言葉を聞くまで。


从 ゚∀从「ブーン。お前はこれからこの国で生きていく。だから今ここで、全部を学ばなきゃいけないんだ」



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:28:43.21 ID:48qBVzBU0
母が、僕に中指を立てろと言った。


从 ゚∀从「お前のお気に入りの音楽は?」

( ^ω^)「パンク……だお」


なら、話は早い。言うべき言葉は分かるだろ、と言われて、僕は頷く。


( ^ω^)「ファック・オフ、だお」


『失せろ』。僕は中指を立てて、窓の外で救いを乞う彼女たちにそう言った。

バンを離れていく彼女たちの顔が、今でも忘れられない。
まるで、地獄をさまよっているような、生きて死んでいる人とはああいうのを言うのだろう。



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:30:39.56 ID:48qBVzBU0
他にもいくつかの驚愕はある。
一流レストラン――母はそう言っていた――には蠅がたかった。
道中、轢かれたのか初めて死体と血の海を見た。
ホテルとは思えない――それでも母はこの辺で一等高い場所と言っていた――造りの建物で一夜を過ごした。
「ノックをされてもすぐに開けずに、フー・アー・ユーと聞け」と母に言われた。
親族の一人がニューハーフだった。
そのニューハーフに襲われそうになった。
ともかく数えれば限がない。望んでいたと思われた環境は、僕の常識とはかけ離れていた。


从 ゚∀从「疲れてるな」

(;^ω^)「おっ……正直」

从 ゚∀从「……日本は、平和すぎるのさ」

寝る前に、母がそう言った。

疲れた喉に流し込まれたヴォルヴィックは、苦かった。



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:32:57.50 ID:48qBVzBU0
翌日には、マニラを飛び立ち、母の生まれ故郷であるミンダナオへ。
詳しいことは省かせてもらうが、ここは本当に田舎だった。
そこらに見えるのはバナナやパイナップルの畑。
あちらではよくパイナップルを食べたものだ。


飛行機から降りて、僕達は親戚と合流して母の実家へと車で移動する。


これまた余談だが、僕はこの時、祖母の顔を忘れていた。
だというのに、飛行場をでて目に入った彼女を、僕は一目で祖母と理解した。


( ^ω^)「ローラ・しぃ!!」

(*;ー;)「ブーン!」

ローラとは、確かあちらで祖母という意味だったか。
ともかく、僕は彼女に駆け寄って抱きしめた。
ちょっと図に乗り、洒落た青年だというイメージを植え付けるためにも祖母の頬にキスをする。
しょっぱかった。

後々知ったが、祖母は風呂――というか水浴び――をしない。
はかったな、ババア。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:35:41.75 ID:48qBVzBU0
さて、それからはまったく新しい生活が始まった。
ご飯は不味い。出るのは肉や魚ばかりで、僕は胃が持たれる毎日だった。
しかし皆、できる限り僕に気を使ってくれたのか、ヌードルや僕に親しみのあるであろう
ものを買ってきてくれたりもした。不味かったが。


お菓子は意外と美味しかった。中でも殆どのスナックは僕にとって外れはない。
他にもチキンバーベキューなるものは最高においしかった。
そう考えると、まああちらの料理も悪くない。


観光にも行ってみた。海にも行った。


さてまた余談ではあるが、観光の際、僕達は――気の合う少年五人組――バイクで移動していたのだが
またまた衝撃を受けた。

一つ。バイクは最高四人まで搭乗可能。
一つ。ヘルメットは無しでもオーケー。
一つ。メーターは飾り。針が動くことはなかった。
一つ。ガソリンはコーラの瓶で民間人が売っています。


数えればきりがないし、タイトルからどんどん話がずれていく気がする。
それでも僕がこうやって書いていくと、どんどんと思い出が息を吹き返してくるのだ。



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:37:51.30 ID:48qBVzBU0
闘鶏なるものがある。
これは賭け事の一種で、軍鶏の片足に鋭い刃物を着けさせて、どちらかが息を
引き取るまで闘わせると言ったものだ。
最初は僕も引きまくった。目の前で鮮血が地に滴るのだ。
動物が目の前で息絶えることを、どうして許せようか?


(;^ω^)「頑張れお!ブーン丸!」


とある日。我が家からも一匹の軍鶏が戦いに駆り出された。
試合に出し、勝てばレートにもよるがかなり儲かるらしい。
凄腕で有名なブリーダーである僕の叔父は、なんと僕の愛するブーン丸――名前は僕がつけた――軍鶏を選んだ。
選ぶ基準があるらしいが、彼――ブーン丸――はいい線をいっていたらしい。



26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:39:15.59 ID:R1r95hEj0
闘鶏って死ぬまでやるのかw


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:39:46.78 ID:48qBVzBU0
ビールとチキンバーベキューを手に、僕たちは息をのんで試合を見届けた。
結果は、なんと合い打ち。
ちなみにこの闘鶏、両者が動かなくなるとブリーダーが手で持って無理やり戦わせる。
絶対にどちらかが死ななければならないらしい。
そして、合い打ちになった場合、なんと試合は無効。
悲しいかなブーン丸、君はただ死にに来たらしい。


( ;ω;)「ブーン丸……君のことは忘れないお」

僕は目の前で丸焼にされたブーン丸を食べながらそう言った。
まあまあ美味しかった。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:41:20.63 ID:jCMF68HKO
ブーン丸www


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage]:2009/05/14(木) 00:41:48.07 ID:fa+X9yoGO
>>27
食うなwww


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:42:16.65 ID:48qBVzBU0
 

 
五月十日、午後三時十一分。
その日、仕事――バイトだが――が休みの日曜日のことだ。
僕が田舎の駅のホームで電車を待っていると、突然ポケットが振動した。


何事かと手を突っ込み、原因である携帯電話を取り出すと、メールが一通きていた。
宛先を見る。
 
From かーちゃん
 
母からだった。
もう、顔を見なくなって、六年。

けど、僕は、もうそんな時期だったな、と思いだした。



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:43:47.62 ID:48qBVzBU0


「Boom genki? Ima nane siteru no? Kyo nano he? Qoo sake mail atta yo.」


( ^ω^)「おっおっ」


母は、もう五十になる。日本では約三十年生活をしてきた。
だっていうのに、これだ。


SMSメールを読んでいるいると、僕は自然と笑みをこぼしていた。

そうか。もう、あの日なのか。



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:45:16.85 ID:48qBVzBU0
クーとは僕の姉だ。
姉から母へメールがあった、ということは。


( ^ω^)「先越されたかお」

毎年僕と姉は、どちらが先に、この記念日に母へ感謝を告げるか競っている。


( ^ω^)「えーと……『元気だよ、何の日だったっけ?』と」

ローマ字で文を打つ。母は日本語は喋れても読み書きができない。

少し、意地悪をしてみたくなった。
或る意味、甘えたかったのかもしれない。
もう、六年もあっていないんだから。構って欲しかった。

無性に、母が恋しくなった。
もう二十一歳だというのに、情けない。



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:47:37.39 ID:48qBVzBU0
 

 
母は、僕を何故か特別扱いしてばかりだった。
自分の子供だから当然かもしれない。


ある日のことだ。
僕の伸びきった髪を、皆に切ったらどうかと言われ、カットしにいくことになった。

ミンダナオの某所の、ジェネラル・サントス・シティー。
僕は大きなショッピングモール内の床屋で、滅茶苦茶なカットをされた。

まあ、日本とこことでは、技術も違えば価値観も違うから、仕方がないかもしれない。
けれど櫛が頭皮を抉っていった時は流石に我慢がならなかった。



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:49:28.18 ID:48qBVzBU0
(#^ω^)「なんつー店だお」

日本人だから、舐められたのかもしれない。
カットが終わり、ショッピングモール内の僕のお気に入りのフードコートでナポリタンを頬張りながら
そう言葉を零す。


从 ゚∀从「どうした、ブーン。気に入らなかったのか?」

母がマルゲリータ・ピザを食べながら聞いてくる。

(#^ω^)「ったりまえだお。頭痛いは、毛が引きちぎられるは、どんな教育受けてきたのかと小一時間(ry」

と、僕が散々に言う。
すると母は何故か怒りをあらわにすると、僕らに付き添っていた親戚三名――ガタイの良い僕の大好きな叔父三名――を
連れだって母がどこぞへ行ってしまった。
残された僕と他の親戚の子供達は、コレステロールたっぷりのピザを頬張りながら帰りを待った。



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:51:27.24 ID:48qBVzBU0
从 ゚∀从「悪い、待たせたな」


と、帰ってきた母達はどこかすっきりした表情だった。
一体何をしてきたのかと尋ねたところ。


从 ゚∀从「何、教育をしてきたんだよ」


実際の僕の母は、こんなもんじゃなかったが。
僕のためを思ってわざわざ例の美容師を説教してきたらしい。
子煩悩。まさしくこの言葉が母に当てはまる。

最初は呆れ果てたが、今になると僕のことを一番に考えてくれる母を、愛しく思う。



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:53:38.86 ID:48qBVzBU0
僕が日本に帰ることになった事件がある。
その日は我がファミリー主催で地域の体育館――競技場?――を借りて
バスケットボールの賭け試合をしていた。


僕が母に聞いた限り、フィリピンではバスケが大好評のようだ。
そう言われて思い出せば、僕の家――母の実家――のすぐそこにもバスケットボールのコートが幾つもあった。
証拠に、その日館内にはかなりの数の人が集まっていたと思う。
親戚の多くもバスケットマンが多くて、とある叔父は僕に、今度のお土産はエアマックスを、と頼まれもした。


さて、話を戻そう。
その日の天候は雨のち曇り。成程、漫画ではよからぬ展開が待っていそうだ。
しかしこれが本当に起こってしまうのだから嫌になる。



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:56:57.23 ID:48qBVzBU0
僕のチーム――しぃファミリーとでも呼ぼうか――の対戦相手は、なんとイスラム教徒の人々だった。
ここで一つ補足説明をさせていただく。
フィリピン人の多くはキリシタンである。

ではキリシタンの敵とは誰だろう。
答えは未だにムスリムが繰り返されていることに結びつく。

その時は、僕には宗教の争いだとか理解できていなかったから、この試合も平和に終わるのだろうと思っていた。
そう。試合が終わるまでは。



試合の展開は一方的だった。僕たちのチームの圧勝。

しかし外国の応援っていうのは、本当にユニークだ。
女の子達は黄色い声を上げる――僕にタガロ語は理解できないがなんとなく分かる――し、オッパイとか
持ち上げるし、野次も飛ぶ。
一番面白いと思ったのは、敵チームのファンと試合そっちのけで互いをののしりあっていたことだろう。
それが後の原因に繋がるのだが。



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 00:59:04.00 ID:48qBVzBU0
試合が終わり、結果はやはり僕らの勝ち。
レートが凄まじかったのか、母に聞いたところ大きな収入になったらしい。

从*^∀从「今日はいつもよりも酒飲めるぜ!!」


たぶん僕の居た期間だけだと思うが、僕がいた時は毎日夜はバーベキューをしていた。
ビール瓶を四ダース、火の中で肉汁を垂れ流す豚や鳥の肉。
それに今日はもう少しプラスがあるのだ。
僕はとても嬉しい気持ちだった。早く夜になればいい。
そう思っていた時だ。



44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:00:16.11 ID:48qBVzBU0
『hせkふsp@p!!!!!』

『さおヴぇh:おい:おっぽぽ@」」!!!!』


試合が終わったというのに、何故か館内は喧しい。
この体育館はよくテレビ等で見る、外国にあるような体育館だ。
観客席が両サイド。中央で選手たちが競技をする形。

選手たちは、困惑の表情だった。
彼等はスポーツマンだ。ただ純粋にバスケットをしにきたのだから、こういうもめ事は好まない。
ちなみにこの試合で僕の親友兼親戚の男の子もでていた。それもエースでだ。
彼の被害は顔面を殴られた程度だったが、酷く悲しそうな表情で怒っていたのは印象に残っている。



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:01:46.03 ID:48qBVzBU0
まず最初に、高い音。
最近では実音が使われることが多いから理解できるだろうが、銃声だった。


( ^ω^)「――は?」


次に、倒れる音。
次に、悲鳴だった。

僕は、ただ笑って突っ立っていただけだ。
本当、何が起きているのか分からなかったんだ。



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:03:21.62 ID:48qBVzBU0
从;゚∀从「ブーン!!逃げるんだ!!」


気づけば、母に手を引っ張られて、走っていた。
蠢く人々の波をかき分けて、出口から外へ出る。
誰かが通報していたのか――実はこの競技場のすぐ隣が交番(?)だった――警官隊、というか軍隊
がアルマライト――と言っていたが、たぶんアサルトライフルのことだろう――を構えて待機していた。


母に引っ張られ、軍隊のような警官隊に誘導される。
母が何かを警官に訴えていた。
警官は了承したのか、彼が付き添って軍車両みたいなバカデカイ車の中で待機することになった。


从 ;∀从『うぇあ;ぐおいら:s@わえ」f!!!』

(;´∀`)『;おいrfia:ei]g]ap@paあyふぇ』


母が、涙を流しながら警官に叫び続ける。
そういえばパニック持ちだったな、と場違いにボンヤリと、そう思いだしていた。



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:06:57.06 ID:48qBVzBU0
事態は思ったよりも早く解決した。
被害はそこまででていないが、先に言ったように親戚のエースの男の子と、叔母が殴られて
怪我をしていた。
なんと死人は出ていなかったのだ。記憶では体のどこかを撃たれているのは覚えているが、
被害者の人は今はどうなっているのだろう。
犯人――銃を撃った人――は即刻逮捕されたらしい。


从 ;∀从「ブーン……」


母は、ずっと震えて僕にしがみついていた。
あの時、僕を引っ張って避難していた時は、あんなにも力強くて、勇ましくて、格好よかったのに。
僕を守ろうとしていた姿とは打って変わって、今では少し叩いた程度で死んでしまいそうだった。


( ^ω^)「かーちゃん……」

突然、今まで何ともなかったのに、僕にも震えが来た。
あの時の感覚をなんといえばいいのだろう。
僕の手持ちの語彙では表現できなくて申し訳ないが、それでも生きた心地がしなかったのは確かだった。



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:08:05.55 ID:48qBVzBU0
ともかく、そんなことがあって、僕はフィリピンにいるべきではないと、母に論された。
初日で僕がここで生きていく前提で色々と教えていたのは誰だというんだ。

けれど、僕自身も命の危険を思い知らされた。
何も、先の発砲事件だけではない。
実は僕が滞在中、とある場所で爆破テロが起きていたのだ。
その爆破テロが起こる一時間前に、僕たちはそこにいたのだが、予想だにしない事態だった。


从 ゚∀从「ブーン。いいか?」

( ^ω^)「わかったお。僕、帰るお」


父に電話越しで土下座をして、どうにかして日本に返してくれと頼んだ。
父は最初腑抜けが、とか、考えが甘すぎる、だとか言っていた。
けれど、帰ってきてもいいと言ってくれた。



52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:10:22.78 ID:48qBVzBU0
 
『ただし、仕事をしろ』
 
そんな条件をつけて。
母に無理矢理、はたらくと言っていると言われて、僕は見事帰国が決定した。

この濃い二週間は未だに忘れられない。
そしてこの二週間の思い出が、母との最後の思い出だった。


ミンダナオからマニラへ飛び、マニラから日本へと飛び立つ。
年齢十六歳。この時、一人旅の楽しみ――というか一人で飛行機に乗る楽しみ――を知った。

ちなみに、帰国して最初に僕が口にした言葉は『寒っ』である。
二月だから当然である。



54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:11:42.73 ID:R1r95hEj0
最後の思い出?


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:12:07.19 ID:48qBVzBU0
 

 
母は、帰ってこなかった。
何故かと父に尋ねてみれば、

( ・∀・)「あいつにもいろいろと理由がある」

と言われた。
これは離婚なのか?と尋ねると、それは違うと言われた。

( ・∀・)「まあ、俺も今の会社を退職したら、あっちにいくからな」


あまり家庭の事情と言うのは言いにくいが、とにかく母は帰ってこれないらしい。
僕は最初、それはどうでもいいことだと思えた。

薄情にも、この時期の僕は反抗期だった。



56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:13:50.90 ID:48qBVzBU0
友達もおらず、知りあいもいない僕は、仕事をするにつれて募る苛立ちや不満を
誰に言えばいいのか分からなかった。

最初は、父に矛先を向けていたのだが。

( ・∀・)「女々しい奴め。男なら黙ってろ」

と言われてしまい、僕は彼とコミニュケーションを取るのを諦めた。
この時から僕と父は不仲である。


時たま、母が僕に電話をよこしてくるとき、僕は愚痴をこぼす。
職場のあいつは厭味だ、とか。
辛い、だとか。
すると、母は必ず僕を励ましてくれた。

『大丈夫。かーちゃんはお前が頑張ってるの知ってるから』


電話越しでも、母の言葉は僕を救ってくれた。



57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:15:33.86 ID:48qBVzBU0
次第に、僕は母に会いたくなった。
けれどチケット代なんて僕の給料からじゃとても払えなかったし、何より仕事
が仕事なので、休みなんてものは月に一回あるくらいだった。
だというのに給料は少ない。


いつか、僕がちゃんと職につけて、いっぱいお金を稼げるようになったら、会いに行こう。
今はまだ無理だけど。

あえないけど、時たまかかってくる電話で、いつでも会話はできる。
励まされたり、怒られたり、褒められたりする度に、僕は母への愛情が募っていく。



58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:17:05.39 ID:48qBVzBU0
 

 
五月十日。母の日だ。
僕と姉は、毎年母へ感謝のメールを送る。


僕にとっての母は、正義のヒーローであって、親友であって、妹のような存在にも思える。
守られて、守りたくなって。
 
 
母さん。
僕は今、元気です。仕事もちゃんとやってます。
辛いこともあるけど、くじけず生きてます。
こんなダメ息子だけど、産んでくれてありがとう。



60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:18:06.56 ID:tXjlV8u00


「Kyo nano he wakaru? Haha no he dayo. Siguto wa? Itsumo kyosketene. bye..bye..」


( ^ω^)「今日は何の日か分かる?母の日だよ。仕事は?いつも気をつけてね。バイバイ、かお」


本当にこの人は。
そうだ。次に会う時は、日本語をちゃんと教えてあげようか。
幼いころ見たいに、小学校の頃の国語の教科書でも引っ張りだして。


( ^ω^)「おっおっ。ママ、アイラビィー、と」

メールを打って、携帯をしまいこむ。


今からでも、ドライフラワーを送ろうか。
真っ赤なバラを、母はよく愛していたから。
 
 
終わり



61 :◆EYa/H5FhY2:2009/05/14(木) 01:19:24.66 ID:tXjlV8u00
そんなマザコンのお話でしたとさ


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:21:13.21 ID:R1r95hEj0
乙です

早く会えるといいねwww


64 :◆EYa/H5FhY2:2009/05/14(木) 01:23:20.69 ID:tXjlV8u00
>>63
できたら今年会いにいくぜ


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:24:11.69 ID:yjlKYl3BO
おいついた瞬間に終わった
乙!
なんか妙に生々しくて面白かった
ところで、この話の中ではムスリムってどういう意味で使われてるの?


66 :◆EYa/H5FhY2:2009/05/14(木) 01:26:00.58 ID:tXjlV8u00
>>65
宗教争いのことと勘違いしてた・・・ごめんなさい全然違ったです
ムスリムムスリム言ってたからそうなのかと思ってた


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/14(木) 01:27:42.51 ID:yjlKYl3BO
あ、なる
>>5からずっと気になってたんだ
ドンマイww


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage]:2009/05/14(木) 01:37:49.82 ID:Af/qMXtMO
早く会えるといいな

母親を大切に思う気持ちとマザコンは別さ



ニュース速報VIP板「( ^ω^)ママ、アイラビューのようです」より


◆EYa/H5FhY2の他作品
( ^ω^)は正常のようですオムライス@ブーン系小説まとめ
( ^ω^)は正常のようですブーン系小説に花束を
( ^ω^)が神をぶっ飛ばすようです7xまとめ
※以上敬略称

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    ネタが
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    5/28
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    5/27
    なんかお茶犬みたいな配色になった。

    5/24
    テンプレの配色をどうすべきか・・・半年やってんのに未だに悩み中。

    5/21
    短レスの
    ネタが
    無い


    5/18
    大矢監督辞任・・・お疲れ様でした。

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    5/13
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    これから数日かけてリンクの整理やら改装やらをしたい。更新はちびちびと。


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