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■ワレモノの注意書きなようです

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 22:53:17.60 ID:Zg1PBQ4ZO
 兄の働く店に顔を出すのは久しぶりだった。

(´<_` )「ギネス」

(,,゚Д゚)「おう、待ってろ」

 ヒゲの親父、ギコが店主であり兄のボスだ。

( ´_ゝ`)「珍しいな。アイツはどうした、ほら、よくつるんでる」

(´<_` )「モララー?」

( ´_ゝ`)「そう、そいつ。最近飲みにこないじゃないか」

(´<_` )「あいつ女できたから」



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 22:58:47.74 ID:Zg1PBQ4ZO
( ´_ゝ`)「よくあるよくある」

(,,゚Д゚)「学生のうちはそんなもんだな。ほれ」

(´<_` )「ども」

 クリーミーな泡とクセのあるギネスが舌を撫でる。

( ´_ゝ`)「で、彼女は可愛いのか」

(´<_` )「ありゃあ、またビッチかな」

(,,゚Д゚)「若いねぇ」

( ´_ゝ`)「……お前」

(´<_` )「なんだよ」

( ´_ゝ`)「なんで不機嫌なの」

(´<_` )「んなことないっすよ」



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:04:40.11 ID:Zg1PBQ4ZO
( ´_ゝ`)「別にいいじゃん。モララー君がまた女に振り回されたり騙されたりすんのも彼の勝手よ」

 それだけ言って、兄は新たに入ってきた客の応対に行った。

(,,゚Д゚)「女で失敗すんのも経験だと思うぜ」

(´<_` )「あいつは同じこと繰り返しすぎなんですよ。次に活きなきゃ失敗は失敗のまま」

(,,゚Д゚)「弟者は物事を真剣に捉えすぎなんだよな」

(´<_` )「そうですかね」

(,,゚Д゚)「お前の兄貴みたいにチャランポランやってみろよ」

 ギコの顎をしゃくった方には

(*´_ゝ`)人ζ(゚ー゚*ζ
 酔客と戯れる兄。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:10:45.56 ID:Zg1PBQ4ZO
(*´_ゝ`)「いやー、面白いわー」

(´<_` )「知り合い?」

(*´_ゝ`)「いや、一見さん。ボス、マンハッタン」

(,,゚Д゚)「あいよ」

(´<_` )「……」

 そういうノリは俺のガラじゃないんだ。

(´<_` )「帰るよ。兄貴、明日は一限からある。昼飯は作れないからな」

( ´_ゝ`)b「おk。勝手に食べる」

(,,゚Д゚)「またなー」

 兄と同棲する部屋へは、線路沿いを歩いて十分の場所にある。

(´<_` )「ただいま、と」

ブブブ

(´<_` )「ん」



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:15:05.54 ID:Zg1PBQ4ZO
『彼女んとこに泊まるから明日、間に合わなかった時は代返シクヨロ』

(´<_` )「し、ね、と」

 まず、俺が気に食わないことのひとつがこれだ。
 モララーは彼女と過ごす甘い(笑)時間を講義より優先する。

ブブブ

『まかせた』

(´<_` )「二、度、し、ね、と」

 あいつは明日、いつものように笑って昼頃登場するのだろう。

(´<_` )「……」

 何も気にせず。



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:25:09.80 ID:Zg1PBQ4ZO
 それもデキてんじゃあねーのかってくらいべたつきながら。

(´<_` )「くだらん、実にくだらんぞ」

 壁のお手製張り紙に向き合いながら、俺は言う。
 節約、勉学と遊びの両立、家事分担。
 そこには色々な文字が並んでいる。

(´<_` )「で、『モララーを卒業まで導く』」

 去年追加した標語。

(´<_` )「こればかりは譲れん」

 モララーは真面目なタイプではない。
 同期にただでさえ友達がいないのに、数少ない友人の一人であるやつを見捨てはできまい。
 昨年の追試地獄にあえぐモララーを見て追加したのがこれだ。



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:32:09.48 ID:Zg1PBQ4ZO
 翌日。

 師曰く、世話を焼きすぎ。

(´<_` )「その心は」

ξ゚⊿゚)ξ「留年するのもモララーには良い薬になる」

 二個上の同期、ツン嬢は語る。

ξ゚⊿゚)ξ「口うるさく言うのがいるっていうのは、逆に甘やかすことになるわけ。分かる?」

(´<_` )「うん? いや、いまいち」

ξ゚⊿゚)ξ「人を頼るのが上手い人間はいくらでも人に寄りかかって努力しないのよ」

(´<_` )「一人立ちできないのは俺がいるから、と」

ξ゚⊿゚)ξ「そゆこと」



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:37:05.00 ID:Zg1PBQ4ZO
 確かに、それはそうかもしれない……。

――回想

( ・∀・)「過去問くれー」

(´<_` )「お前は持ってルだけで満足するからダメだ」

( ・∀・)「そこを弟者が教えてくれるんだろ?」

(´<_`;)「あのなあ……」

――回想終了

(∩<_∩ )「あー」

ξ゚⊿゚)ξ「思い当たる節ありか」

(∩<_∩ )「うん」



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:41:23.82 ID:Zg1PBQ4ZO
ξ゚⊿゚)ξ「だから、アンタはあえて突き放してやるのがあいつのためなのよ」

(´<_` )「だろうか」

ξ-⊿゚)ξ「アンタさ、あいついなかったらもっと成績いいはずでしょ?」

 それも、否定はしない。

( ・∀・)「おはよーっす」

ξ゚⊿゚)ξ「来たわよ」

(´<_` )「ん。ありがとう、ツン」

 数少ない友人の相談役、ツンは女子グループに戻っていった。



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:44:23.83 ID:Zg1PBQ4ZO
 俺がモララーとの関係について考えるようになったのには理由がある。

ミセ*゚ー゚)リ「ねえ、今日はモララー君と一緒じゃないの?」

 最近つきまとうようになったこの女だ。

(´<_` )「知らん」

ミセ*゚ー゚)リ「えー、でもいつも講義で隣に座ってたのに」

(´<_` )「さあね」

ミセ*゚ー゚)リ「ちょっと冷たくなーい?」

(´<_` )「……はあ」



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:46:48.26 ID:Zg1PBQ4ZO
ミセ*゚ー゚)リ「こないださー」

 この女は

ミセ*゚ー゚)リ「弟者君がモララー君に消しゴム貸してあげてたじゃん」

 なんというか

ミセ*^ー^)リ「そんときのモララー君、めっちゃ可愛かったよねー」

 今まで俺が出会った中でも

ミセ*^ー^)リ「ホントいっつも思うんだー」



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:48:17.12 ID:Zg1PBQ4ZO

ミセ*^ー^)リ「弟者×モララーでもモララー×弟者でもめっちゃ萌えるよねっ」

 一番厄介なタイプだった。





19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:50:16.35 ID:R73x9ZxC0
ウホッ



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:53:03.83 ID:Zg1PBQ4ZO
(´<_` )「時にミセリとやら」

ミセ*゚ー゚)リ「えー?」

(´<_` )「うっとうしい」

ミセ*゚ー゚)リ「ひどいなー、二人がいちゃつくの見せてよー」

 彼女はいわゆる腐女子という人種らしい。

(´<_` )「俺とモララーはそんなんじゃない」

ミセ*゚ー゚)リ「いーのいーの隠さなくて」

(´<_` )「はあ」

ミセ*゚д゚)リ「モララー君のやんちゃぷりを収めながらその熱い胸に抱く弟者君の吐息は甘美でうるんだ瞳が」

(´<_` )「俺、図書館行くから」



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/10(土) 23:58:36.04 ID:Zg1PBQ4ZO
 うちは総合大学なので、図書館もそれなりに広かった。
 ソファは特に徹夜明けの学生にベッドとして高い人気を誇る。

ミセ*゚ー゚)リ「いいんだってばさ、私には分かってるよ」

(´<_` )「ついてきたのか」

 偶然にも二人分空いていたソファに、体をねじこむミセリ。

ミセ*゚ー゚)リ「そんなニオイがプンプンするの。私くらい防腐きっちりしてると逆に鼻が利くんだ」

(´<_` )「防腐?」

ミセ*゚ー゚)リ「一般の女の子みたいにしてるってこと」

 ミセリは立ち上がって、くるりと回る。



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 00:04:19.27 ID:CEQQhglWO
(´<_` )「キミ、誰に対してもこんなじゃないのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「もっちろん違いますとも」

 彼女の言い分では、ホモを耆好する女子は昨今、巧みにそれを隠蔽するらしい。

ミセ*゚ー゚)リ「裏表の使い分け、ってヤツ」

(´<_` )「隠すくらいなら好まなきゃいいのに」

ミセ*^ー^)リ「むっつりスケベ的に解釈してよ。あはは」

 見た目普通で実は、ってことか。
 言葉の通り、ミセリは黙っていたら今風に着飾った女子大生だ。



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 00:07:38.26 ID:kkkk+o3qO
やめろおおおおおおおおおお俺のトラウマがああああああああああああああ支援



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 00:11:04.17 ID:CEQQhglWO
ミセ*゚ー゚)リ「風当たりつーよいのよ、この趣味っていうか、生き方?」

(´<_` )「かっこよくねーから」

ミセ*゚ー゚)リ「まーまー。でさ」

 にこにこ喋るミセリは、携帯を取り出した。

ミセ*゚ー゚)リ「赤外線付いてるよね?」

(´<_` )「なんでアドレス交換する前提の切り出し方なんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「ダメ?」

 図書館で必要以上に喋るのはギルティー。
 二郎じゃなくてもこれくらいは一般常識だ。
 俺は、分かったよ、と携帯を取り出す。

(´<_` )「ほら」

ミセ*^ー゚)リ b

 俺達はそれから図書館を出た。



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 00:19:07.76 ID:CEQQhglWO
 別れ際、これからモララー君といるときはメールしてね、とミセリは言った。

ミセ*゚ー゚)リ「で、遠くから私が見付けたらメールでアクション指示するからね! よろしく!」

 頭のネジが飛びまくってて、俺は恐ろしくなった。
 アドレスを聞く時の目がマジで、どうしようもなかったのだ。

( ´_ゝ`)「だから、俺のアドレスを代わりに送ったの?」

(´<_` )「兄貴も俺もアドレス帳に名字しか入れないからバレないかと思って」

( ´_ゝ`)「ふむ、知能班。まあいいや、凄い面白いぞミセリって娘。見てみこのメール」

( ´_ゝ(⊂(´<_` )「見せたら皮を剥ぐ」

( ´_ゝ`)「じゃあ読」

( ´_ゝ(⊂(´<_` )「読んだらモミアゲをむしりとる」



26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 00:26:31.13 ID:CEQQhglWO
( ´_ゝ`)「痛いのは勘弁だなあ」

(´<_` )「頼むからそっと消してくれないか。記憶からも」

( ´_ゝ`)「お前気にしすぎじゃね?」

(´<_` )「気にするだろ普通」

( ´_ゝ`)「意識した方が周りに妙に気遣わせるだろJK」

(´<_` )「女子高生……? いや、そりゃ兄貴だから言えることで」

 双子の兄は大学進学せず、町のバーで働いている。
 俺の志望大学を聞いて、合格前に今の部屋を用意したのが兄だった。

( ´_ゝ`)「イタイ子の一人や二人くらいスルーしろよ」

(´<_` )「簡単に言ってくれる」

( ´_ゝ`)「簡単だもん」



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 00:33:46.34 ID:CEQQhglWO
(´<_` )「そりゃ兄貴だからできることであってだな」

( ´_ゝ`)b「俺にできてお前にできないわけがない」

(´<_` )「……」

 二人で同じ環境に育ったはずが、俺達は各所に違いがあった。
 最たる例が、兄は俺より社交性が高い点だった。
 人あしらいとか、処世が上手かったのだ。

(´<_` )「……そうだな」

( ´_ゝ`)+「それでこそ流石の姓を冠する男だ」

 満足げに笑う兄。
 押しや意見を曲げない姿勢も、兄の方が強かった。



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 00:37:27.54 ID:CEQQhglWO
( ・∀・)「モララー!」

(´<_` )「なんだ突然気持悪い」

( ・∀・)「おいおいっ、乗ってこいよっ! 俺が言ったらお前も名乗れ!」

(´<_` )「気温以上に寒いからやめろって」

( ・∀・)「やってくれるまで止めないんだからな! モララー!」

(´<_` )

( ・∀・)「モララー!」

(´<_` )

(#・∀・)「モ・ラ・ラ・ア」

(´<_` )=3

(´<_` )「弟者のー」



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 00:42:24.83 ID:CEQQhglWO
(*・∀・)

(´<_` )「喜んでないで、なんだよ」

( ・∀・)そ

( ・∀・)「焼き芋食べ隊ー!」

((((´<_` )「ああそう」

(;・∀・)「なぜ引く! 食べたいだろ焼き芋!」

(´<_` ))))「いや、そんだけのために構内で大騒ぎするから」

( -∀・)「まだレベル5騒ぎだぞ? 侮るなよ」

(´<_` )「その表情的に2+1で3じゃないのか?」

( ・∀・)「?」



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 00:50:43.54 ID:CEQQhglWO
( ・∀・))「むまいなー」
  っθ
(´<_` )「いやー、まだ時期じゃないだろ」

( ・∀・))「えんへきがいしぇんであまいぞー」
  っθ

(; ∀ )そ

(´<_` )「ああ、想定内だよ、さすがだ」

 そうして喉を詰まらせたモララーが身を屈めた瞬間、遠くに腐った視線を感じた。

   ミセ*゚v゚)リ

 俺はバシバシ携帯を打ち始めた人を努めて意識の外に置いた。

(;・∀・)「水、水」

(´<_`;)「……ほれ」

 飲みかけのペットボトル飲料を差し出した。



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 00:52:59.67 ID:kkkk+o3qO
ミセリ怖ぇえwww



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 00:59:02.34 ID:CEQQhglWO
  ミセ*^w^)リ

 うわあ。

(´<_`;)「帰るか。寒いし」

(;・∀・)「おげっ。うん、帰るわ」

(;・∀・)「あー、いや、彼女んとこ行く」

(´<_` )「……そうか」

 その晩、家に帰ると、兄に「ミセリちゃんの携帯、4と5だけ壊れたんじゃないか?」と聞かれた。

(´<_` )「どうしたらいいと思う」

ξ゚⊿゚)ξ「そんなにネタにされるの嫌ならあいつと離れたら?」

 ファストフード店で落ち合うとツンはあっさりと言ってのけた。



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:02:31.41 ID:CEQQhglWO
ξ゚⊿゚)ξ「良い機会じゃない。モララーを一人立ちさせるためにもさ」

(´<_` )「ふーむ」

ξ゚⊿゚)ξ「だってアンタ、違うでしょ?」

(´<_` )「違う?」

ξ゚⊿゚)ξ「だから、モララーをそうやって見てないんでしょ、って」

(´<_` )「……ああ、そういうこと」

ξ゚⊿゚)ξ「うん」

(´<_` )「……」

(´<_` )「ないな」

ξ゚⊿゚)ξ「何、今の間」



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:05:54.10 ID:kkkk+o3qO
弟者まさかテメェ



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:33:18.23 ID:O2UD6lU1O
>>36
いいIDだね。



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:07:39.43 ID:CEQQhglWO
(´<_` )「あ、いや。ちょっと考えてみただけ」

 モララーをそうやって見る?
 無いだろ。

ξ-⊿-)ξ「なら、いいけど」

ξ゚⊿゚)ξ「アンタはどうしたいの?」

(´<_` )「……」

(´<_`;)「あれ?」

 呼び出しておいて、俺の中にどうしたいのか、まとまっていないことに気付いた。

ξ゚⊿゚)ξ「その辺はっきりしてもらわないと、アタシとしてもね」

(´<_` )「とりあえず、モヤモヤしてるんだよな」

ξ-⊿゚)ξ「……アタシ帰っていいかな?」



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:13:31.01 ID:CEQQhglWO
 明確な対策を打ち立てられないままに、日は暮れた。

(´<_` )「ギネス」

(,,゚Д゚)「おう。今日は早いな」

(´<_` )「兄貴いないんですか?」

(,,゚Д゚)「下痢」

(´<_` )「また賞味期限ギリの食ったな」

カラン

从 ゚∀从「ここ、こないだ先輩に教わってよー」

(*゚∀゚)「やー、良いとこだな!」

 女子大生がいち、に、

ミセ*゚ー゚)リ「へー雰囲気いーねー」

 さん。



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:21:03.15 ID:CEQQhglWO
 即座にカウンター奥へと移動し、俺は顔を隠した。

从 ゚∀从「つまみも気がきいててな」

ミセ*゚ー゚)リ「うんうん、美味しそう!」

(*゚∀゚)「カルーア! カルーア!」

 防腐加工とはよく言ったものだ。
 それは実に見事な擬態だった。

(´<_` )「ギコさん、上手く裏から出してもらえないですか」

(,,゚Д゚)「は? そりゃまたなんで」

(´<_` )「ちょっと色々あっ――」

( ´_ゝ`)「あースッキリばっちり」



40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:26:31.80 ID:CEQQhglWO
( ´_ゝ`)「お、可愛いお客さん達」

ミセ*゚ー゚)リ「弟者君!」

( ´_ゝ`)「おと、え?」

 瞬間、固まる兄。
 そして、

( ´_ゝ`)「おお、珍しいな! こんなとこで!」

 店ごと兄を爆破したい俺。

(,,゚Д゚)「良いのかあれで」

(∩<_∩ )「知らないっす」

从 ゚∀从「知り合いか?」

ミセ*゚v゚)リ「ちょっと」

(*゚∀゚)「へー!」



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:32:46.81 ID:CEQQhglWO
 オーダーを取った兄が離れると、彼女らは小声で喋りだした。

 イケメンじゃん。
 どこで知り合った?
 弟者っていうのか?

( ´_ゝ`)「あ、お前来てたの? どうする、ネタバラシ」

(∩<_∩ )「俺はここにいないから。あと、兄貴騙り止めろ」

(*´_ゝ`)「え~、どっしよっかなぁ」

(∩<_∩ )「あの中にミセリがいるんだよ。話がよじれる」

(*´_ゝ`)「ふむ? それはそれは」

(,,゚Д゚)「ドリンク運べ、兄者」

(*´_ゝ`)「喜んで、この弟者めが参ります」

(´<_`;)「ちょ」



43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:40:21.81 ID:CEQQhglWO
ミセ*゚ー゚)リ「こんなとこで働いてるなんて意外。しかも雰囲気違うね」

( ´_ゝ`)「そう?」

ミセ*^ー^)リ「別人みたい」

(∩<_∩ )「別人だよ……」

ミセ*゚ー゚)リ「モララー君は?」

( ´_ゝ`)「あいつなら俺んちで寝てるよ」

从 ゚∀从「仲良いんだな」

(*゚∀゚)「モララーってあのいつも講義中に寝てる人かー?」

从 ゚∀从「やんちゃ坊主っぽいあれだな」

( ´_ゝ`)「よく来るから合鍵渡してるんだよ」

 ああ……、この嘘は……。
 勘弁してくれ……。

ミセ*゚v゚)リ



44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:44:56.62 ID:CEQQhglWO
ミセ*゚v゚)リ「お風呂は?」

( ´_ゝ`)「水道代ヤバい時は一緒に入るけど?」

ミセ*゚v゚)リ「寝る、って同じ布団?」

( ´_ゝ`)「え、独り暮らしだし布団一組しか」

ミセ*゚・・゚)リ=3「ごごご、ご飯とか!」

( ´_ゝ`)「あいつ、家事からきしだからなあ。俺が作ってやらないと」

 兄が笑うまいと尻をつねっていた。
 俺は、

(∩<_∩#)

 怒りをこらえるので精一杯だった。



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:47:27.67 ID:CEQQhglWO
 彼女らがほろ酔いになるまでに、ギネスの泡が消え去るほどの時間を要した。

( ´_ゝ`)「弟者、ただいま帰還」

(´<_` )「よし、死ね」

( ´_ゝ`)「まあまあ落ち着け弟よ」

(´<_` )「死ね。氏ねじゃなくて死ね」

(#)_ゝ`)「ごめん、ちょっと顔は止めて、顔は」

(,,゚Д゚)「やるんならボディにしな」



46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:54:56.41 ID:CEQQhglWO
(#)_ゝ`)「言ったはずだぞアシタカ」

(´<_` )「あ?」

(#)_ゝ`)「おk弟者、時に落ち着け。灰皿は火サスでのみ鈍器認定を受ける」

(´<_` )「なんだよ」

( ´_ゝ`)「言ったろ? 気にするからいけないんだ。むしろ笑い話にしてやれ」

(,,゚Д゚)「何の話か知らんが弟者、ギネス新しいのいるか」

(´<_` )「大丈夫です。笑い話って、あんな悪意あるとしか思えない女の妄想を受けることか?」

( ´_ゝ`)「それは考え方次第だろ。男だって×××とか×××させたり×××のこと考えるじゃん」

(´<_` )「なまじ伏せられるとなんだが、それは異性間での話だ」

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 01:58:53.97 ID:CEQQhglWO
( ´_ゝ`)「おげれつな妄想ってのは変わんねーよ」

(´<_` )「百歩譲ってそれはよしとする。だが、それを遊びの道具にするのは許せない」

( ´_ゝ`)「遊び……ああそうか」

(´<_` )「?」

( ´_ゝ`)「あのさー、あの子、ミセリちゃん」

(´<_` )「なんだよ」

( ´_ゝ`)「マジだよ、お前らのこと」

(´<_` )「は?」

从*゚∀从「弟者ー、オーダー!」

( ´_ゝ`)「はいよー」



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 02:02:57.95 ID:CEQQhglWO
(´<_` )「マジってなんだ」

 風が冷たくなってきた。
 夜道は、俺の孤独を引き立てた。

ブブブ

(´<_` )「……」

『お前んち行くわ』

 奇妙に、心臓が跳ねた気がした。

(´<_` )「『どうした』」

『フラレた』

(´<_` )「『早くね?』」

『後で話す。おでん食いたい』

(´<_` )「……」



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 02:09:51.36 ID:CEQQhglWO
( ゙∀゙)「おう」

 玄関をくぐったモララーのまぶたは腫れていた。

(´<_` )「……おでん、コンビニのだけど」

 節約の観点からコンビニモノは廃したかったが、時間的にすぐ用意できたのはこれだけだった。

( ゙∀゙)「もち巾着ある?」

(´<_` )「ちくわぶもな」

( ゙∀゙)「さんきゅ」

 鼻水をすすりながら下手くそな箸使いを見せるモララー。

( ゙∀゙)「俺、二番手だったらしくてさー」

 ちくわぶをストローにダシを飲むと、モララーは語り出す。

( ゙∀゙)「本命にやきもち妬かせるために俺とヤッたんだって」



53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 02:17:12.19 ID:CEQQhglWO
( ゙∀゙)「いやあ、俺もね、舞い上がったわ正直」

(´<_` )「……うん」

 ローテーブルの向かいに座ったモララーがため息をついた。

( ゙∀゙)「勉強もスポーツもさあ、俺、一番になれねーじゃん」

(´<_` )「まあ、そうかもな」

( ゙∀゙)「だからその点、恋愛くらいは頑張ろーとか思ったわけ。一番になれそうなのそんくらいだったし」

(´<_` )「一番に、意味はあるのか?」

 モララーの言葉が引っかかって問うた。

(´<_` )「一番じゃないとダメなのか」

 俺は兄と比べられてきた。
 勉強や真面目さでは俺、スポーツや人当たりでは兄。
 人気があったのは、皆からの視線が集まっていたのは、兄。

(´<_` )「比べられたって面白いもんなんかないだろ」



54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 02:23:41.46 ID:CEQQhglWO
( ゙∀゙)「あるよ、意味。お前、俺の一番の親友だもん」

 びく、と胸が跳ねた。
 みぞおちに冷たいものがさしこまれたようにも感じた。
 歯がゆい嬉しさと、形容しがたい揺らぎ。

( ゙∀゙)「俺、友達はいるけど、たぶん皆の中で一番どうでもいいヤツなんだって思ってる」

( ゙∀゙)「一番、俺のことどうでもよくないって思ってくれる友達、お前くらいだもん」

(´<_` )「……」

 俺は黙って冷蔵庫から発泡酒を取り出して、テーブルに置いた。

( ゙∀゙)「プレミアムモルツは?」

(´<_` )「あれは高い」



56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 02:30:44.08 ID:CEQQhglWO
( ゙∀゙)「弟者は一番に意味がないと思うかー」

 ひどく、難しい問いだった。
 ミセリの笑みやツンの呆れた顔が浮かんでは消えた。
 簡単に、お前は一番の友達さ、と言ってしまえなかった。

(´<_` )「俺は」

 一番だ、という部分にはこれまでの「比べられたくない気持ち」が邪魔をした。

(´<_` )「その」

 友達だ、と言い切るには最近の「腐った目線からの意見」が邪魔をした。



57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 02:35:14.82 ID:ptbFeWwF0
モララーの気持ちがわかりすぎて嫌だ



58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 02:35:23.30 ID:CEQQhglWO
 俺は単純に物を言えない性格を呪った。
 ノミのように小さくて、ガラスみたいに割れやすい心臓が脈動した。

 兄のようにひょうひょうとしていられたら、と思う。
 不必要に臆病で、先々を考えてしまう。

 もし傷付いたら?
 あるいは、傷付けたら?

 注目を浴びてしまったら。
 呆れられてしまうなら。

( <_  )「その」

 これだけ悩むのはなぜだ?



59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 02:44:08.96 ID:CEQQhglWO
( ゙∀゙)「その程度なんだ、って落胆されるから怖いんだ」

 口の中で呟いていると、モララーが缶を傾けてから口を開いた。

( ゙∀゙)「誰もが『あー、そんなヤツもいたね』って思い出すレベルなのも嫌だ」

( ゙∀゙)「でも、でも、頑張っても深く、人が、俺のこと覚えててくれるのってどうやったらいいか分からなくて」

 モララーがこんなに自分のことを話すのは初めてだった。
 俺は時間ができたとばかりに、思考を巡らせた。

( ゙∀゙)「mixiもさ、スカイプもさ、モバゲーとかもやってみたんだよ。でも、スゲー、むなしいんだ」



60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 02:50:30.87 ID:CEQQhglWO
( ゙∀゙)「俺、一番にはなりたくても、一番寂しいヤツにはなりたくねぇよぉ……」

 俺は、ほとんど無意味に缶を口元に掲げていた。

( <_  )「……」

 砕けかけのモララーを目前にして、俺は何も言えなかった。

( ゙∀゙)「……」

 やがて、モララーは疲れたのか横になるとすぐに寝息を立て始めた。

(´<_` )「……」

――隠さなくてもー

――違うんでしょ?

――彼女マジだよ、お前らのこと



61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 02:55:36.74 ID:CEQQhglWO
 モララーの寝顔を眺めた。
 目元がアルコールのせいで赤っぽいのを除けば、子供のようだった。
 俺は来客用の毛布を二枚出して、電気を消した。

(´<_` )「……」

『モララーを卒業まで導く』

 目についた張り紙を適当に破り、丸めて捨てた。

(´<_` )「モララー、風邪ひくぞ」

( ゙∀゙)「……んん」



62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:00:53.86 ID:CEQQhglWO
( ゙∀゙)「ありがと、なあ」

 この時感じた気持ちは

 言葉にしないほうが

 きっと、良いものなんだ。

(´<_` )「……どういたしまして」

 俺はそれを掴みきれていないし

 何より、俺達みたいなワレモノには

 刺激が強すぎる気がしたんだ。



63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:03:34.20 ID:CEQQhglWO
***

( ´_ゝ`)「寒いな」

(´<_` )「ああ、寒いな」

( ´_ゝ`)「今日は休みで晩飯、うちで食べたいんだ」

(´<_` )「そうか。鍋だな、鍋」

( ´_ゝ`)「チゲ鍋だな、チゲ鍋」

(´<_` )「チゲ鍋ってどんなだ」



65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:07:21.29 ID:CEQQhglWO
( ´_ゝ`)「人を呼ぼうか、お前が」

(´<_` )「俺の交友関係の狭さを知っての発言だな。悪意九割」

( ´_ゝ`)「まさかそんな」

(´<_` )「まあいい。呼ぼうじゃないか」

( ´_ゝ`)「まかせた」

( -∀・)そ

( ・∀・)「おぅ、なんだ兄者君か、びっくりした」

( ´_ゝ`)「人の家で寝て起きて無礼なヤツめ」



66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:17:09.69 ID:CEQQhglWO
 夜半過ぎに帰った兄から、ミセリの思惑を聞いた。
 メールもその時見せられた。
 蓋を開ければ頭悪げな妄想が大半だったが、一部、そうでないものがあった。

『二人は親友でしょ? 凄い良いことだよ! もっと一緒にいるべきだって!』

 掘ったの掘られたのでなく、純粋に俺達の仲を考えていた、とか。
 モララーに彼女ができ、一人で歩く時間の増えた俺を心配していたらしい。
 メールの端々に妄想が染みだしていたが、それを抜いてもお節介な女だ。



68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:22:23.89 ID:CEQQhglWO
 話したこともない俺達のことをわざわざ、ね。
 もっとも、腐女子の栄養源確保、と考えれば理にかなってはいるか。

( ・∀・)「もち巾着入れようぜー」

(´<_` )「もちと油揚げだけで何十個買うつもりだ」

( ・∀・)「ちくわぶもたくさんだー、わー」

(´<_`#)「まてぇい」

 ミセリの目的明らかになると、俺の中のモヤは晴れた。
 そうだ、一時の気の「迷わされ」だったのだ。



70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:27:02.69 ID:CEQQhglWO
( ・∀・)「もち、もち美味いよね?」

(´<_`#)「お前まだ入れるなら追加分は全部出せよ」

(*・∀・)「じゃあ追加! あとプレミアムモルツ!」

(´<_`#)「せめてスーパードライにしなさい」

(;・∀・)「わ、わかったんだからな」

(´<_` )「よろしい」

 俺達は、友達だ。
 一番の親友。

( ・∀・)「俺がビール入ってる方持つよ」

(´<_` )「そうか」

(*・∀・)「エライだろ」

(´<_` )



72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:28:39.71 ID:CEQQhglWO


( ・∀・)「?」

(∩<_` )「いや、なんでもない」

 ……友達、のはずだ。





74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:32:42.22 ID:CEQQhglWO
 ところで、俺の部屋の壁から張り紙が一枚増えた。

 『節約』と『規則正しい生活』の間にそれはある。

 鍋の仕上がりを待つ間に、ツンがそれを見付けて尋ねてきた。

(´<_` )「ん? ああ、それ?」

ξ゚⊿゚)ξ「なにこれ、『頑丈になる』って」

 俺は頭をかいて、こう答えた。



75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:33:49.38 ID:CEQQhglWO


(´<_` )「ワレモノの注意書き」


   ワレモノの注意書きのようです

        おしまい





76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:35:32.22 ID:waAvp3MF0
おつ



77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:35:47.70 ID:G+XV+e2/O
なにこれおもしろいじゃない





78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/11(日) 03:37:35.91 ID:mAZPx0US0


どうかと思ってたら正直よかった



ニュース速報@VIP ワレモノの注意書きなようです
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1255182335/l50

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